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TOOTH-EXTRACTION

矯正するときに抜歯は必ず必要なのか?

  • 歯は上下左右に7本ずつ、合計28本あります(親知らずを入れれば32本)。矯正治療では、前から数えて4番目、もしくは5番目の歯を、上下左右4本抜いて歯が動くスペースを作るのが一般的です。
    歯ならびの悪い人の中には、あごが小さく、歯が生えるスペースが狭いため、歯ならびが悪くなっている場合があります。6人がけのイスに、7人座っているイメージです。そこで1人にどいてもらい、6人で座れるようにするわけです。それが矯正治療で歯を抜く理由です。しかし、健康な歯はできるだけ失わないようにすることが大切です。歯ならびが悪くなった原因を改善したり、詳しい検査と綿密な診断・治療計画の作成によって、健康な歯を抜かずに治療できる可能性が高まります。
    ただ、著しい不正咬合が見られる場合は、抜歯を検討しなければなりませんし、かみ合わせや歯並びの状況によっては、抜歯をすることによって効果的な治療ができることもあります。

  • 抜歯の有無を判断するための検査と診断

    デジタル設備を用いた精密検査が、より緻密な治療計画を可能にします。また、それぞれの資料や検査には、それぞれの意味と役割があります。
    当院では、検査や診断の結果をしっかり説明し、患者さまにとってより良い治療を提案します。患者さまの希望をうかがったうえで「最終的な治療のゴールをどうしたいのか」よく話し合って治療方針を決めていきます。

  • 口腔内写真

    正面や側方、かみ合わせ面など8種類(正面観、正面観開口、側方面観(右・左) 、咬合面観(上・下)、前歯部側方、前歯部あおり)の写真を撮ります。かみ合わせの状態や歯並び・歯ぐきの状態などを確認することができますし、実際に写真を見て頂くことで、患者さま自身、ご自身の歯並びやかみ合わせについて理解が深まります。また矯正治療開始後も定期的に撮影し、矯正治療の進捗をチェックし、患者さまと共有します。

  • 顔貌写真

    正面・正面スマイル・真横・真横スマイルのお顔の写真を撮影します。
    あごのゆがみ、かみ合わせの異常、歯の見え具合、歯と顔との調和、上下の歯の正中の位置、お顔の対称性や口元の突出状況等など様々なことが分かります。顔貌写真も口腔内写真同様、経過観察において重要な役割を果たします。

  • パントモ(パノラマX線写真)

    上下の歯列と歯周組織、上下顎など口の中や口の周り全体を1枚の画像に映し出すレントゲンです。 1枚の画像であごの骨や全ての歯を観察できるため、口腔内全体がどのような状態なのかを把握しやすいです。過剰歯や埋伏歯、先天性欠如、親知らず、むし歯や歯周病の状態などを確認することができます。また、お子さまの場合、生え変わりの状態や永久歯の位置なども確認することができます。
    ただし、曲面状のあごの骨や歯列を展開し平面画像にして全体的な状態を把握するため、精密な診断はできません。

  • セファロ(ゼファログラム)

    頭部X線規格写真といい、硬組織(骨格)と軟組織(お顔)を分析・診断します。上下顎の大きさや位置関係、あごの形、歯の角度、口元のバランスなど、現状を把握し、不正咬合の原因を調べます。例えば、同じ不正咬合の種類であったとしても、骨に原因があるのか・歯に原因があるのか・それとも両方に原因があるのかによっても適切な治療は変わってくるからです。また、同じ規格で撮影しますので、診断時・治療中・治療終了後など経時的に変化を把握することができます。

  • CT

    3次元画像で立体的な解析が行えます。レントゲンは2次元の情報しか得られず、3次元(縦・横・高さ)の骨格を2次元で分析するだけでは不十分です。歯の位置関係や歯の根の長さ、骨の厚み・長さや形状、顎関節の状態など立体として細部まで把握できるため、より精密で正確な診断が可能になります。
    また、埋伏歯や親知らずなどの状態も正確に把握することができます。歯の様子だけでなく、舌骨(ゼッコツ)や舌の位置、口呼吸や嚥下の状態までわかります 。緻密な治療計画を立てるためには、精密な検査・診断が必要です。

  • iTero

    インビザライン矯正のために開発された光学3Dスキャナーです。短時間でかみ合わせや歯の形状、歯並びを立体的にデータとして読み込み高精度な歯型をPC上に再現し、インビザラインの治療計画には欠かせないものです。これにより診断はもちろん治療前のシミュレーションや治療開始から完了に至るまでの歯の動きを動画や画像で確認することができます。また、インビザライン以外の矯正の患者さまも口腔内をスキャニングすることで、歯型をデジタルデータとして採取することができますし、スキャナー以外の機能として、「歯のどの部分がかみ合いすり減っているのか」や「歯の隣接面のむし歯」などの確認もでき、様々な情報を患者さまへ提供できます。

  • 抜歯をせずに歯を並べる矯正方法

    1あごの成長を促し、歯が並ぶスペースを作る

    成長途中のお子さまに適した方法です。正しい成長を促し、歯が並ぶスペースを作ります。いわゆる1期治療(小児矯正)で行う方法です。もし2期治療(成人矯正)が必要だとしても、抜歯の可能性が低くなり、また短期の治療で、より良い治療効果が得られます。

  • 2歯を後ろへ移動し、歯が並ぶスペースを作る

    奥歯を後ろに動かしてスペースを作り、順に歯を後ろへ動かすことにより歯列を整えていきます。ワイヤー矯正では難しかったこの方法もマウスピース矯正(インビザライン)では容易になり非抜歯の可能性を高めています。ただし、歯を支える土台がなければ移動はできませんので、骨格の奥行きが必要です。また、この方法では親知らずがある場合は基本的に抜歯をします。「歯を抜かない矯正」とは、「親知らず以外の歯を抜かない」ことを指します。

  • 3歯の側面を研磨し、歯と歯の間にスペースを作る

    歯の隣接面(歯と歯が隣り合っている側面)のエナメル質にヤスリをかけ、わずかなすき間を作り歯列を整えていきます。IPRやディスキングと呼ばれる方法です。エナメル質は個人差もありますが2~3mm程度の厚さがあります。治療計画に沿って必要量のみ健康上支障のない安全な範囲(0.5mm以内)で削るので、むし歯を誘発したり、歯の寿命が短くなったりすることはありません。わずかなスペースですが、複数歯行うことである程度ボリュームを確保できます。 また、IPRを行うことでブラックトライアングルを小さくしたり、歯の大きさのバランスを整えることができます。

  • 4歯列の幅を広げ、歯が並ぶスペースを作る

    歯が並んでいるあごの骨の部分を歯槽骨といいます。この歯槽骨の範囲内で、歯列を外側に広げて歯が並ぶスペースを作ります。ただし、過度の拡大は 歯ぐきや歯槽骨を痛めるため、拡大できる量はわずかです。そのため外側に拡大してもお顔立ちには影響しません。また、歯列が内側に倒れている場合、歯の傾斜を正すことにより歯が並ぶスペースが広くなくなります。

  • 上記の方法は、それぞれ確保できるスペースに限りがあります。どれか一つの方法で対応できる症例もあれば、併用して行う症例もあります。

  • 矯正治療で抜歯をしないことのメリットとデメリット

    メリット

    • 健康な歯を失わずに済む、心理的負担の軽減

      健康な歯を抜くことに抵抗を感じる方がほとんどだと思います。そのため「抜歯」が矯正治療の足かせになっていることは否めません。抜歯せずに済めば患者さまへ心理的負担を強いることもありません。
      また、抜歯をすることによって歯の本数が減ると将来歯の治療の選択肢に影響が出る場合もあります。

    • 治療期間の短縮化

      抜歯をするとスペースを確保できる分、歯の移動距離が大きくなります。
      歯は適切な力・スピードで動かさなければなりませんので、抜歯矯正の場合その分治療期間が長くなる傾向にあります。

    • 歯列のアーチが小さくならない

      抜歯によって歯列のアーチが小さくなると、機能障害や睡眠時無呼吸症候群・顎関節症を引き起こす原因になることがあります。

    • 抜歯の費用が掛からない

      矯正のための抜歯は自由診療となり、保険適用ではありません。ただし、親知らずがむし歯や歯周病の原因になっていて抜歯が必要な場合は保険適用になるケースもあります。

  • デメリット

    • 歯肉退縮のリスク

      歯肉退縮(歯ぐきが下がる)は、矯正治療において起こりうるリスクですが、スペースがない場所に無理に歯を並べようとすると、歯ぐきに過度な負担がかかり歯ぐきが下がってしまったり、歯の根っこが歯槽骨からずれて露出してしまうリスクが高まる可能性があります。

    • 口元や横顔の改善は難しい

      口元を後ろに引っ込めて横顔の印象を改善するためには、抜歯が必要になるケースが多いです。抜歯と非抜歯ではやはり歯を動かせる量が圧倒的に違います。

    • 口元の突出感につながることも

      十分なスペースがないにも関わらず、抜歯をせずに無理に歯を並べると歯列が前方へ膨らみ口元がEラインからはみ出してしまうことがあります。歯並び・かみ合わせはもちろん、口元の変化も考慮して治療計画をたて患者さまへしっかりと説明することが重要です。

    • 重度の不正咬合への対応が難しい

      抜歯をせずに得られるスペースには限りがあります。そのため重度の不正咬合では対応できない場合があります。

  • 横顔の美しさの基準「Eライン(エステティックライン)」

    顔を横から見て鼻の先とあごの先を結んだ線をEラインといい、「上下の唇がラインに触れず少し後ろにある」横顔が理想とされています。これはあくまでも鼻の高い欧米人の基準のため日本人の場合は「上下の唇がライン接しているか、やや内側にある」くらいが理想といわれています。
    このEラインより前に口元が出ている場合、症状が軽微な場合は歯の傾きや並びを整えることで改善できることもありますが、大きく改善したいときには抜歯が必要になります。
    この場合、もちろん見た目だけでなく、歯並び・かみ合わせにも問題がありますので、矯正治療では、「横顔のバランス」「口元の美しさ」「歯並び」「かみ合わせ」どれか一つだけを改善するのではく、全てを総合的に判断して治療を進める必要があります。